「日本三大和牛」と言えば!まずは誰もが高級牛肉として知っている「松阪牛」。そして、世界中のグルメの舌をうならせる「神戸ビーフ」。残る一つは「近江牛」!と、いきたいところですが、この3つめに関しては「近江牛」と「米沢牛」のどちらを入れるか、諸説あるところ。
それなら、「近江牛」を知って、味わって、日本三大和牛としてふさわしいか、自分で確かめてみませんか?今回は、ちょっと不安定な3つめの「日本三大和牛」の席に座る近江牛のお話です。
他の銘柄牛の追随を許さない!「近江牛」の歴史は400年!
日本三大和牛の歴史は、というと、「神戸ビーフ」は明治維新後の神戸港開港に伴う150年の歴史、「松阪牛」は1909年の松阪公園での品評会に発する110年と、いずれも一世紀を越える歴史を誇ります。
では「近江牛」は、と言うと、なんと400年!「1590年、豊臣秀吉の小田原攻略の折、高山右近が牛肉を蒲生氏郷と細川忠興に振る舞」ったことに端を発します(「近江牛」生産・流通推進協議会HP https://www.oumiushi.com/より)。
江戸時代、近江(今の滋賀県)は米の一大産地でした。そのため、田を耕したりお米を運搬したり、牛が農家の働き手として活躍していたのです。また、当時近江を治めていた彦根藩は、江戸幕府の太鼓に使う牛皮を献上しておりました。そこで、年老いて農業に従事できなくなった牛を屠殺し、太鼓用の皮を取っていたそうです。
皮を取った後は、当然お肉の部分が残りますよね。このようなことから、「滋賀県を産地とする牛肉は、1687年、彦根藩で味噌漬けにされた養生薬『反本丸(へんぽんがん)』として商品化され、日本各地に知られていった(近江肉牛協会HP https://omiushi.jp/ より)」のだとか。本来は肉食が禁じられていた江戸時代において、「薬」として広まっていったのですね。
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数ある銘柄牛の中でも、いたってシンプルな「近江牛」!?
400年を誇る老舗中の老舗ブランド「近江牛」。一体どんな牛が「近江牛」として認められるのでしょうか。
現在「近江牛」を認証している団体は2つ。「近江牛」生産・流通推進協議会と近江肉牛協会です。同じ名称の牛肉なので、統一したルールがある、と思いきや、それぞれの定義には微妙な差があります。
まずは、「近江牛」生産・流通推進協議会。定義はいたってシンプル。
1.豊かな自然環境と水に恵まれた滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種
たったこれだけ!?(協議会HPより)他の銘柄牛にあるような、「雌牛だけ」や肉質等級などの基準もありません。ただし、同協議会では「認定近江牛」としてハイクラスの牛肉に対しては、別の認定を行っています。その要件は次のようになります(協議会HPより)。
1.「近江牛」の中でも、枝肉格付がA4、B4等級以上のもの
2.協議会の構成団体の会員が生産したもの
3.滋賀食肉センターまたは東京都立芝浦と畜場でと畜・枝肉格付されたもの
ようやく、ここで銘柄牛っぽい定義づけになってきました。そして、もう一つの認証団体、近江肉牛協会による定義は、というと、
1.滋賀県内で最も長く飼育された黒毛和種である
2.肉質等級「A4」、「B4」以上
となっており、前述の協議会の「認定近江牛」と近い定義づけになっています。でも、他の銘柄牛と比べると、意外に「近江牛」の定義ってユルくないですか?
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定義づけのユルさが招いた、「近江牛」の黒歴史
先ほどの「近江牛」の定義、400年以上の歴史を誇る銘柄牛ですから、さぞかし昔に決められたもの、と思いますよね。でも、実はつい最近になって決まったんです。
「近江牛」生産・流通推進協議会HPによると、「近江牛」の定義がきちんと決まったのは2005年12月。1590年以来、なんと415年間もあいまいなままで続いていたのです!では、なぜこのタイミングになったのか。この原因となったのが和牛界を揺るがした近江牛の黒歴史なのです。
当時、「近江牛」は、「滋賀県産の黒毛和種である」ことだけが条件でした。しかも、「滋賀県産」とするのに必要な要件が定義されていなかったことから、悪質な生産者は他の地域から連れてきた牛を一晩滋賀県内で寝かせて、翌日「近江牛」として屠場へ出荷してしまうほど。ところが、2003年12月、いわゆる狂牛病や産地偽装の問題から「牛肉トレーサビリティー法」が施行されたことにより、状況は一変。牛ごとにどこでどれくらい肥育されたか一発でバレてしまうようになり、滋賀県外での肥育期間の方が長い牛には「近江牛(〇〇県産)」、という訳のわからない表示が採用されることになりました。
当然、そんな牛に高値が付くわけはなく、本来の「近江牛」と比べて非常に安い価格に。「他県産の近江牛が売れない」という消費者にとっては意味不明な不満を生産者が持つようになります。そして2005年5月、なんと「近江牛」を守る主体であるはずの近江肉牛協会の副会長が産地偽装で逮捕されてしまったのです。しかも、はじめは数週間しか滋賀県内で肥育していない牛(=〇〇県産近江牛)を、数年いた(=本来の近江牛)ように偽装したことで逮捕されたのですが、その後、交雑牛を黒毛和種と偽っていたことも判明し、再逮捕されることに。
あれ、2005年って?そうです、この事件をきっかけとして、「近江牛」の信頼回復を図るべく同年12月にあらためて定義づけが為されたのです。
普段の食卓でも!近江牛を使った簡単便利なお惣菜
雨降って地固まる。今では安心して「近江牛」買えるようになりました!
「近江牛」は、今では地理的表示保護制度(GI)にも登録(登録番号56号)。登録情報における定義は「滋賀県内で最も長く飼育し、かつ最終飼養した黒毛和種の牛肉」と、たったの一行のシンプル極まりないものですが、販売店の指定制度を導入するなど、信頼できる品質の牛肉を流通させることに努めています。
でも、どの店舗を利用してみようか、なかなか決められません。そんな時は、百貨店の催事などに出店している近江牛専門店を利用するのがおすすめ!シンプルな決まりの「近江牛」だからこそ、販売店が仕入れるときの目利きが重要。百貨店の舌の肥えたお客様に信頼されている店舗なら、安心できますよね。そこで、3つの店舗をピックアップしました!百貨店品質の牛肉が、ふるさと納税で簡単にお取り寄せできますよ。
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2024年12月7日 更新