広域災害に向かない!?ふるさと納税を通じた被災地支援にも地域間で寄付額に差

【中小企業診断士 岬丈朋】

台風19号やその後の記録的な大雨の被災地支援を目的に返礼品なしで募集しているふるさと納税の寄付金が、少なくとも5億7千万円に上ることが6日までに分かった。発生後わずか1カ月弱で集まった多額の支援。熊本地震や西日本豪雨でも活用され、被災地支援の手段として定着した形だ。ただ、被害が頻繁に報道されている地域に寄付が集中し、自治体間の差が広がっている。

2019年11月6日 日本経済新聞夕刊の記事より


寄付や義援金の募集方法は、いろいろな選択肢から選ぶことができます。
企業や店舗、街頭の募金箱を持った方に募金や、日本赤十字社などへの銀行振込、また、電話一本で一定額が寄付されるような仕組みなど、その方法は多々存在します。
その中で、ふるさと納税.を通じた寄付や義援金支援が一般化されてきました。
従来の募金方法では、
「集まった募金は日本赤十字社を通じて、被災者の方々に届けられます。」というのをよく耳にしますが、時々、「本当にこの人から被災者に届くのかなあ」と疑うこともしばしばあります。
逆に、日本赤十字社はとても信頼できる団体なのですが、自分の寄付がどこに届けられてどう役に立ったのかは募金者にはわかりません。また、マスコミが指定する、特定の銀行口座に振り込む煩わしさが、ハードルを高くしているというのも否めません。
そのような中で、ふるさと納税を利用して寄付を行うことが被災地支援の手段として定着したことは、ある意味、好ましいことだと言えます。また、どこの市町村で使われるかが明確なことは、ふるさと納税ならではと言えるでしょう。普段からふるさと納税を利用している方にはインターネット通販感覚で寄付できるのもハードルも低いと言えます。

ただ、今回の台風のような広域災害で大きな問題があります。
それは、「被害が頻繁に報道されている地域のみに寄付が集中し、報道されていない地域・自治体間との間で差が広がっている」ということです。
確かに、過去の集中豪雨による災害で、広島市や倉敷市の一地区に被害が集中した例や、先日の首里城の火災で那覇市に寄付をするなど、ピンポイントでのケースには有効な手段です。しかし、例えば今回の台風19号のような「広域災害」では、なかなかピンポイントで寄付するということができません。

国土交通省が発表した「堤防決壊箇所一覧」(2019年11月6日7:00時点の速報)では20水系 71河川 140箇所が決壊し、非常に多くの市町村に及んでいます。マスコミはこれを公平に報道するのは困難ですが、報道が偏った結果、露出度の高かった長野市や宮城県丸森町に偏った寄付が行われているのも事実です。
また、そもそも災害復興は市町村だけで行うものではなく、国が行う部分、県が行う部分があり、予算が被害の大きさなどに応じて上から配分されるものです。寄付金を多く得た特定の市町村が、たとえば近隣の市町村に再配分するなどという調整は相当難しいでしょうし、何よりその市町村を指名して寄付した人の理解が得られにくいのは容易に想像がつきます。

総務省は今回のような広域災害へのふるさと納税を利用した寄付制度では、例えば県単位でも寄付できたり、市町村間で寄付金を融通しあえるような制度への改革が必要です。
また、ふるさと納税の取り組みに積極性のない地域・自治体が被災した場合は、そもそもふるさと納税での寄付を集めることが困難です。
当面は、マスコミの報道だけに頼らず、本当に必要とされている地域・自治体を自分の目と耳で見極め、複数の地域で寄付するのがよろしいのではないでしょうか。
そのほか最近では、被災した自治体に変わって、別の自治体がふるさと納税の寄付受付と証明書の発行を代行する「代理受付」も行われていますので、こちらも併せて活用してみるといいかもしれません。

それにしても、返礼品の魅力によって寄付金額に差が出る「不公平感」があるだけでなく、返礼品なしで募集している被災地支援の寄付でも、その募集方法やメディア露出の回数によって寄付金額に差が出る「不公平感」が出てしまうのは皮肉なものです。

この記事を書いた人
岬丈朋

みさき・たけとも/中小企業診断士。幼少期は高度成長期で、夏休み・冬休みには必ず紀伊半島の母の実家に帰省。生マグロを当たり前のように食し、磯の貝採りや昆虫採集の日々を送る。大手メーカーに就職後は、全国の生産パートナーを訪問するなかで、地方のモノづくりの底力を体感。地方こそが日本を支えると確信するふるさと応援ライター。

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