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ふるさと納税は、寄附文化後進国の日本に革新的なイノベーションをもたらした?

【千葉商科大学非常勤講師 青木靖喜】

沖縄県那覇市の首里城再建支援で、ふるさと納税の寄附金5億円突破
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」(https://www.furusato-tax.jp/)を企画・運営する、株式会社トラストバンク(本社:東京都目黒区、代表取締役:須永珠代、以下「トラストバンク」)は11月13日、トラストバンクが提供するふるさと納税の寄附金をクラウドファンディング型で募る仕組み「ガバメントクラウドファンディング®(GCF®)」で、那覇市の首里城再建支援プロジェクト(https://www.furusato-tax.jp/gcf/717)の寄附金が5億円を超えたこと発表した。
トラストバンクと那覇市は11月1日、焼失した首里城の再建資金を募るプロジェクトを開始。11月13日15時までの約12日間で、寄附金5億円超、寄附件数34,300件超が集まりました。



首里城再建を支援する「ふるさと納税」のクラウドファンディングは首里城焼失の翌11月1日午後2時半に始まり、11月13日15時までの約12日間で、寄附金5億円超、寄附件数34,300件超に達したそうです。そこからさらに上積みされており、国民の関心の高さがうかがえます。

また、沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO、盛田光尚理事長)は15日、海外からの問い合わせに対応するべく、海外を対象としたグローバル・クラウドファンディング「第1期首里城復旧・復興支援募金」の受付を開始しました(税控除は受けられない)。
ふるさと納税といえは、過剰な返礼品で納税者を奪い合っているニュースや、返礼品のお得度を特集したサイトが目を引くが、自然災害や文化財保護に対する意識を表す手段としての、ふるさと納税制度が定着していくのではないかと感じている。
寄附金の使用目的に賛同した方々から寄せられる寄附金であるが「災害からの復興に使ってください」「返礼品は不要です」というメッセージも増えているという話を聞くと、日本にも寄附という文化が定着していくのかなと感じました。

内閣府のNPOホームページに米国・英国との寄附金を比較した資料があります。2007年と2008年のデータですが、日本の寄附額合計は5,910億円に対して、英国では1兆812億円、米国ではなんと36兆2,258億円となっています。
そして、日本との最も大きな違いは個人と法人との比率の違いにあります。日本は個人が19.1%であるのに対して、英国では94.2%、米国では81.9%と個人による寄附の割合が圧倒的に違います 。
そして、寄附の動機にも違いがあります。
日本:利他的な動機と顔の見えるコミュニティによる定期的な寄附活動、
英国:総じて慈善意識が働いている、
米国:正しいことをしていると思うから 、
となっており、寄附に対する考え方や文化の違いを感じます。

 ふるさと納税という制度は返礼品というニンジンの効き目で昨年は5,000億円を突破しました。2010年の日本のNPOへの寄附金実績が8,822億円と併せると(少々乱暴ですが)英国のレベルに達することになります。ふるさと納税という力の大きさを見せつけられた感がありますが、災害復旧支援、自治体独自の地域活性化プロジェクト、自然や動植物の保護を目的とした活動への寄附が更に定着してもらえればと願っています。

 ここで、1点注意していただきたいことがあります。それは、災害直後の復旧支援は「代理寄附」を選んでほしいということです。これは、茨城県境町の橋本町長が発案しトラストバンク社が協力して始まったものですが「被災地の事務負担軽減や迅速な対応を目的に、被災自治体に代わって寄附を受付けてくれる」のが「代理寄附」なのです。
被災地では、被災直後は特に、寄附金を受付けている時間がないため、忙しい被災自治体に代わり寄附金受領書などの発送や受付事務などを担っていただく自治体のことをトラストバンク社では「代理自治体」と呼んでいます 。
代理寄附の仕組みは熊本地震の時にできた仕組みで、被災地が落ち着いたころに寄附金が代理自治体から被災自治体に確実に届く仕組みです。

自治体同士の絆が醸成される取り組みが出来るのも、ふるさと納税制度の素晴らしいところ。
これらの「代理寄附」も含め、ふるさと納税という仕組みは言わば、寄付制度のイノベーション。
最近は悪いニュースばかりが目立つふるさと納税ではありますが、これからもイノベーションが進み、日本人の寄付関心度とお手軽度を高めていくことができれば、ふるさと納税という仕組み自体が再評価されるかもしれません。

内閣府NPOホームページ
https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-shirou/kifu-hikaku
山田英二『諸外国における寄附の状況と 税制の役割』pp9 H20.5.12株式会社三菱総合研究所
http://www.tax.metro.tokyo.jp/report/tzc20_4/05.pdf
須永珠代(株)トラストバンク代表取締役『被災直後の災害支援は「代理寄附」を選んでください』
https://www.furusato-tax.jp/feature/a/furusato-choice_column-vol8

この記事を書いた人
青木靖喜

あおき・やすよし/千葉商科大学非常勤講師。地域の街づくりや商店街活性化などの問題に取り組む傍ら、中小企業支援に行う。
ワインとチーズ好きの趣味が高じ、JSA認定シニアワインエキスパート、SAKE DIPLOMA、
CPA認定チーズプロフェッショナル等の資格を有する。海外駐在員として過ごした会社員時代に出会ったワインやナチュラルチーズが忘れられず、帰国後にワイン、チーズそして国酒である日本酒や焼酎の酒ディプロマの呼称資格を取得。著書に「商店街機能と街づくり」、「中小企業の経営と診断」(共著、創風社)がある。

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